授業中の困った!どう解決する?①

授業中の困った!どう解決、対処する??

時間をかけて教案を作ったら、次は授業です!

初めて遭遇することばかり。授業は人と人との関わりなので、当然教案通りには進められないし、時間も足りない!など、様々なことが起こります。

教案通りに進められないのは当たり前のことだと念頭に置いておいて、授業の前に授業中の困りごとを想定しておくことが大切だと思います。そして授業中に起こりうる困りごとを想定した上で、どんな対処法があるのかをいくつか知っておくと安心して授業に臨めると思います。

時間

教師歴が浅い日本語教師が心配することは色々あるとは思いますが、時間に関することではないでしょうか。時間が足りない、時間が余る、時間配分はどうする?など、心配は尽きません。

時間に関すること、特に時間が足りない、時間が余るというのは、新人教師でもベテラン教師でも起こりうることです。慣れてくれば、焦ることなく調節できますが、慣れていないうちは、時間のことが気になって、どうしよう、どうしようと焦ってしまうと思います。

①時間が足りない場合

まずは時間が足りない場合、特に予定がタイトに詰まっていて、一つ一つのことに時間をたっぷり使えないなという場合にする対処方法です。

 

1.テキストの練習問題を書かずに全体で口頭練習にする。

テキストの練習問題は、口頭での変換練習等のあとにすると思います。なので、口頭練習のあとにする練習問題は、形や導入項目の意味を理解しているかを確認するのために、学生には書かせることが多いです。練習問題の前にする口頭練習は全体でコーラスするのが主ですが、書くときは一人で自分の力を使って頭の整理をしなければならないからです。

 

教師のキュー出しで口頭練習

時間が足りない場合は、教師が設問を読んでキュー出しして、学生が口頭で文を作るという練習に変えます。ゆっくりクラスに多いのですが、クラスによってはどうしても書きたい学生が多いとか、習慣として必ず書くというクラスもあります。このような場合でも、全体で口頭練習をしてから、書いてもらっています。教師は口頭練習をしながら、または口頭練習後、学生が口頭で発話した文を板書して、学生がノートに書くときに助けとなるようにします。

2.口頭練習を減らす

大幅に時間が足りないときは、口頭でする変換練習の時間を短くします。

動詞の変換練習・口頭練習を例にあげて説明します。

A.FC(フラッシュカード)3周するところを2周にする

B.全体コーラス→学生1人にあてる→教師が正しい形を言う→全体でもう一度コーラス をする動詞を減らす  ※全体コーラス:全員で声を揃えて言う

C.絵カードを見ながら文を作る練習の数を減らす

A.FCカード3周するところを2周にする

私は通常、動詞の変換練習を3周しています。

1周目は、動詞のグループごとに(Ⅱグループ→Ⅲグループ→Ⅰグループの順)、2周目は動詞のグループをランダムに行います。さらに1周目は、学生の全体コーラスのあと、学生1人にあてて、1人でも正しく言えるかどうかを確認します。間違えていたら、学生自身が正しく言えるように手助けをします。正しい形を教師が言って、学生がもう一度コーラスします。こうすることで、間違えやすい動詞とその正しい形を共有することができます。

これを動詞ごとに行います。2周目は間違えやすい動詞、教師が確認しておきたい動詞の時に行います。

3周目は2周目と同じように動詞のグループをランダムにして、まとめの意味で行っています。間違える人が多くない限りは、学生一人にあてて確認することはしません。全体コーラスで終えます。

時間が足りない場合は、2周目と3周目をミックスして行います。動詞ごとに学生をあてないで、簡単なものは全体コーラスのみにして、間違えやすい動詞のみ、学生一人にあてて正しい形で言えているかどうか確認します。

B.全体コーラス→学生1人にあてる→教師が正しい形を言う→全体でもう一度コーラス をする動詞を減らす

Aで書いた通り、変換練習は3周しますが、Bは1周目と2周目の時短方法です。

1周目は動詞のグループごとに練習(Ⅱグループ→Ⅲグループ→Ⅰグループの順)して、2周目は動詞のグループをランダムに行いますが、特に1周目で動詞ごとに学生にはあてません。間違えやすい動詞のみ、正しく変換できているか確認します。

3周目はまとめの意味で、全体コーラスのみで行います。これは通常どおりです。

C.絵カードを見ながら文を作る練習の数を減らす

文字を見ながらの変換練習のあとに絵カードを見ながら文を作る練習をしますが、この数を減らします。本当はどの文も作れるようになってほしいのですが、中でも典型的な文でぜひ作れるようになってほしいもの、覚えてほしい文を優先して、その絵カードを見せます。

その後もし時間ができたら、その日の復習として、使っていない絵カードを見せて文を作る練習をしてもいいと思います。

 

3.語彙導入を全体コーラスからする

語彙導入のときに時々使うやり方です。

通常は、学生1人をあてて、語彙をいくつか読んでもらってから(S1:たべます、S1:のみます…)、全体でコーラスを2回ずつ(T:たべます、SC:たべます、T:たべます、SC:たべます、T:のみます、SC:のみます…)して、意味説明・確認をします。このやり方だと、学生が語彙を聞く機会を増やせるし、上手く読めない語彙を教師も学生も共有できるからです。

でも、予定がタイトな日は、学生一人にあてて語彙を読んでもらうところを省略して、全体コーラスから始めます。

②時間が余る場合

授業の予定表のやり残しがあると、次の日以降の先生に迷惑をかけてしまいます。授業の中でもしっかり時間をかけるところと、学生の反応を見て時間をかけずに進めるところにメリハリをつけて、時間内にその日の予定を進めますが、時々時間が余ってしまうことがあります。10分以上あるともう一活動できるし、5分前後だと、さっと済ませられることをします。

1.副教材の練習問題をする

ある程度まとまった時間があるときは、副教材の練習問題をします。変換練習やある程度キューがある状態で作ることはできても、自由作文に近い練習問題ができないという学生はけっこういます。書かせるまでに時間がかかるし、答え合わせや説明にも意外と時間がかかります。

2.その日の学習項目の復習

10分未満のときは、その日の学習項目の復習をします。

その日勉強した文型を使った文を全体で口頭確認した後、自由に文を書いてもらいます。最低でも1つは書くように促し、書ける人は2つ以上書いてもらいます。個性あふれる文が出てきて面白いです。

3.数字を使ったアクティビティ

10分未満のときは、数字を使ったアクティビティもできます。私は初級前半のクラスですることが多いです。

数字のFCがあれば、FCを使います。FCがない場合でも、教師が指で1,2とすれば数字だとわかるので、簡単にできます。

 

例えば、「~月」だったら、まず1人目の学生に「1」を見せて、S1「いちがつ」、次の学生に「2」を見せて、S2「にがつ」… これを「12」までします。スムーズにいけば、全体でもう一度コーラスします。

4番目の学生が「よんがつ」と間違えてしまったら、4番目の学生からもう一度「1」から始めてもいいし、間違えた学生に「1」から「4」まで正しく言ってもらってから、5番目の学生にあてて続けます。

学生たちは途中で、全部正しく言えないと終わらないことに気付くので、他の学生の発話を一生懸命聞きます。そして全問正解にできたとき、不思議な一体感と達成感が生まれます。

バリエーションとしては、「~月」、「~日」、「~時」などがあります。「~人」や「~つ」もいいですね。

 

前日の内容が入っていない

申し送りで前日の先生が「学生があまり理解できていない様子」とか「変換はできるけど、意味はあまりわかっていないかも」と(正直に)書いてくれている場合、「どのぐらい理解しているかちゃんと確認しておこう」とか「前日の内容を多めに復習してから、今日の内容に入ろう」と心づもりした状態で授業に臨むことができます。

でも、前日の授業で学生が文型の意味を全く理解していないまま、文型を使った文を作れるようにだけなって練習問題や会話練習をこなし、180分の授業が終わっていたらしいぞということがありました。しかも、そのことが申し送りに全く書かれていなかったのです…

授業直前、学生に「ちゃお先生!昨日の勉強、全然わかりませんでした(泣)」
できる学生数名に確認したところ、彼らさえ全然わかっていない… これは全員わかってないな。

前日導入した文型や動詞の形を軽く復習してからその日の授業には入るのですが、前日の学習項目が全然入っていないとなると、なかなか辛いものがあります。前日の学習項目を学生が理解していることが前提で、授業をするからです。

その日、自分が担当する学習項目もあるので、前日の内容に多くの時間を割くことはできません。でも前日の学習項目を理解している状態にするということは必要なことなので、改めて導入して、学生に理解してもらうしかありません。この私のケースの場合、幸い、形だけは前日作れるようになっているので、どんな場面、状況で使うのかわかってもらえばOKです。

この場合、教具も少ないので、ホワイトボードに簡単な絵を描いたり、教師と学生とのやりとりで導入していきます。

このケースはあまり起こらないことではあるので、心配しすぎなくてもいいと思います。ただ、自分の担当日の前日に何を勉強したのか確認するのは必須ですし、前日の学習項目を軽く復習してから担当箇所の導入をしていくので、前日の学習項目を簡単な言葉で説明できる準備はしておきます。

私自身がミスすることも今までありましたし、これからもすると思います。常勤の先生、非常勤の先生と共に助け合いながら仕事ができたらいいなと思います。

 

申し送りができていない

これも実際にあったことなのですが、私が担当するはずの箇所を前日の先生がしていて、前日にするはずの箇所の中にしていないところが多く残っているということがありました。

申し送りには、「したこと」と「予定表にあったけどできなかったこと(しなかったこと)」を書かなければなりません。でも、その時の申し送りにはそれが書かれていなかったのです。書かれていたのは予定表通りの項目だけでした。

授業が始まって、学生に「先生、昨日もうしました。」と言われて、私は初めて知ることとなりました。学生のテキストを見たら、(心の声)「確かにやっている…。じゃあ、昨日するはずだったところは…?やってない!」

この時はたまたま前日にするはずの箇所でしていないところがあったので、授業として成立して事なきを得ました。でも、もし仮に前日の先生が、前日の箇所と私の担当箇所、どちらもしていたとしたら…?

対応策

・その日にできそうな箇所を探して、あったらそれをする

・できそうな箇所が少ない時は、学生に練習問題を解かせている間に、念のため担任の先生に確認しに行く。

・担任の先生が授業中で確認できないときは、前日とその日(自分の担当箇所)の復習をする

 

※「予定表にあったけどできなかったこと(しなかったこと)」

「予定表にあったけどできなかったこと(しなかったこと)」があるのは恥ずかしいことではないと思います。授業は生ものなので、問題なくできると思っていたところに意外と時間がかかってしまったとか、学生からの質問が多くて時間を費やしてしまったとか、様々なことが起こります。

しかしながら、もしできなかったことがあったら、見込みが甘かったかもしれない、時間配分がよくなかったかも、あの部分に時間をかけすぎたかもと振り返って原因を探ることは必要です。