教える環境の変化 アナログからデジタルへ
15年ほど前から現在まで日本語学校や専門学校等で教えてきて感じるのは、ここ数年で教える環境が急激に変化したということです。
・電子黒板の導入
・オンライン授業への対応
一時期の混乱で日本への入国が遅れたり、延期・保留になったりした学生に対してオンラインで授業をしていた学校もありました。
また小中学校と同様、日本語教育の現場でも電子黒板がある学校が当たり前になってきました。
デジタルネイティブの学生
学生は生まれた時からインターネットがあり、ちょっとの疑問も手元のスマホで調べれば、ほんの数十秒で答えを得ることができる、問題を解決できる環境で生活してきています。
デジタルネイティブである学生に、絵カードを見せるより、実物の画像を見せるほうが一目瞭然でわかりやすい場合もあります。
日本語の授業で長々と板書をノートに書き写させたりすることはありませんが、ある日の授業で、似たような意味の文法を整理するのにホワイトボードに表を書いたとき、板書せずにスマホでパシャリとした学生もいました。
自分の手で書いたほうが覚えるのにと思う一方で、自分も私生活ではバス停の時刻表を撮るし、書いて覚えるよりその都度視覚から情報を得る機会が格段に増えたのも事実です。

教師も変化していくもの
教師の側がいつまでもアナログで、こうでなければならないと古いやり方に固執して変化を嫌うのは、本当にもったいないと思います。これは学生にとっても、教師にとってもです。
今の学生に合った情報の見方があるだろうし、学生に合わせることで授業に対する学生の理解度が上がったり速まったりするなら、教師にとってもいいのですから。
とはいえ、ボランティア教室や出張レッスンなどでは、デジタル環境が整っていないこともあると思います。少数レッスンや1対1では大きなホワイトボードや電子黒板は不要かもしれません。
臨機黄変に対応できるように、デジタルに頼らない教具も選択肢として必要だと思いますので、それも併せて説明していきます。

授業の流れは同じ
アナログからデジタルに変化しても、授業の流れは同じです。
初級の授業を例に挙げると、以下の通り。
①導入→②説明→③確認→④口頭練習→⑤練習(教科書等)→⑥会話練習
変わったのは教具
一番変わったのは教具だと思います。そして教具が変わったことで、必然的に準備するものも変わりました。
パソコンやタブレットを持ち込んで、電子黒板に画面を映して授業をする先生もいるし、USBを電子黒板に差して、パワポ等を開いて授業をする先生もいます。私は後者で、授業毎にパワポでスライドを作っています。
前置きが長くなりましたが、ここからは【アナログ】と【デジタル】に分けて、説明していきます。
①導入
【アナログ】
・絵カード
・絵カードなしで口頭(教師が一人二役で会話する、学生と教師とのやりとり等)
・レアリアを使う
【デジタル】
・イラストや画像を電子黒板に表示する
・補助的に文字情報も入れて学生の理解を助けることもある(複雑な内容のときや、理解が遅いクラスの場合)
②説明
【アナログ】
・導入後、例文を板書(教師が板書している間、学生を待たせることになるので、簡潔に書く。)
【デジタル】
・スライドで例文を表示(学生を待たせることなく、例文を見せることができる)
③口頭練習
【アナログ】
・紙で作ったFCカード(A4サイズのコピー用紙を半分に折る)
・紙に書いたor印刷した絵カードを使う
【デジタル】
・電子黒板に文字を表示
・電子黒板にイラストや画像を表示

④練習(教科書等)⑤会話練習
【アナログ】
・学生、教師それぞれが手元にある教科書を見る(問題を解く前に、学生に例文を読んでもらいますが、共有できるのは耳からの情報)
【デジタル】
・教科書の練習問題を電子黒板に表示(学生に例文を読んでもらう場合、共有できるのは耳からの情報と、電子黒板にある文字情報。教師が注意する箇所に下線を引いたりした場合、視覚情報があるのでよりわかりやすくなる。板書の時間も省略できる。)
まとめ
デジタル教材はアナログ教材より視覚から得られる情報が多いことがわかります。学生にとってはよりわかりやすくなるし、教師にとっても板書の時間が省略でき、練習等に時間をとれます。
ただ、視覚からの情報に頼りすぎるとわかったような気になり、耳からの情報だけで理解するのが難しそうな学生が増えてきたように感じています。(アナログで授業していた頃は、中級以降はイラストは使わずに口頭で文型導入していました。耳を鍛えてほしかったので。クラスのレベルにもよりますが、中級でもイラストを使って導入することが増えました。)
クラスやレベル等によって、臨機応変に使い分けたり、融合したりしてみるといいと思います。

