オンラインレッスンを受講する学習者
まずはオンラインで日本語を教えてみようかな、と考えている人も多いと思います。オンラインレッスンってどんな感じなんだろう?どんな学習者がいるんだろう?世界と繋がっているようなワクワクする気持ちもあれば、想像できないことに対しては不安を感じるというのも本音なのではないかと思います。

初めてのオンラインレッスンが始まる直前、学習者が入室するのを待っている間、「あ、私、緊張しているな。」と自覚したのをよく覚えています。
対面授業もオンラインレッスンも私は経験していますが、ここではオンラインレッスンを受講している学習者のタイプや特徴をまとめてみようと思います。タイプや特徴によって、どんな日本語をレッスンで扱ったらいいのかがおのずとわかってきます。あくまで私が出会った学習者の話ですが、どなたかのお役に立てば嬉しいです。
オンラインレッスンとは
まずオンラインレッスンは、学習者が自分の時間とお金を費やして受講しているものです。ですから、学習目的が明確で、学習意欲が高い学習者がとても多いです。
いちばん多いのは、社会人です。次が大学生です。小学生や中学生数名にも教えたことがあります。
また、日本に住んでいる学習者は少なく、多くの学習者は母国でオンラインレッスンを受講しています。
社会人
自分でお金を払ってわざわざレッスンを受けていることもあり、学習者は社会人が多いです。仕事で日本語を使っている人もいれば、日本が好きで日本語を勉強している人もいます。そのため、日本に詳しい人や日本に来たことがある人が多いです。
仕事で日本語が必要だから
仕事で日本語を使うから日本語が上手になりたいという学習者は多いです。仕事で日本語を使うと言っても、同僚と話したいのか、上司と話すときの日本語に不安があるのか、日本人のお客さんにメールをするのかで、どんな日本語をより上達させたいのかが変わってきます。
日系企業で働いている。
日系企業で働いている学習者のニーズはいくつかあります。私が聞いたことがあるのは、主に3つです。
①日本人の同僚と自然な日本語でお喋りしたい、

今でも話せてはいるけど、相手に理解してもらっている感覚があって、相手に負担をかけているような気がする。だから、より自然な日本語を身に付けたいし、会話を自分からもっと楽しめるようになりたい。また、会社の飲み会などで、もっと同僚と仲良くなれるような話がしたい。
日系企業で働いている学習者なので、いわゆる中級~上級レベルの日本語が話せる学習者です。ですから、相手との会話はその場ではある程度問題なく成立しているのだと思います。でも、助詞や自動詞と他動詞をを間違えたり、動詞や形容詞の活用が多少違ったりしても、会話を遮ってまでだれも訂正してくれません。学習者にとっては間違いに気付かないままの状態です。意味が伝わる間違いなら、話を進める上では問題ありませんが、相手に誤解されるような間違いを無意識にしてしまうこともあるかもしれません。

このような学習者のレッスンを受け持った場合は、細かい間違いもどんどん修正していきます。学習者が感じる小さな不安を取り除く役割があると思っています。
また、ある程度話せるが故に、話したいことがどんどん湧いてくるので、文の切れ目なく、ひとり語り状態になる学習者も案外多いのも特徴です。文が長くなると、相手も話している学習者本人も何を話しているのかわからなくなってしまいます。ですので、まずは文を短く切って話すことを意識してもらいます。こうすることで、わかりやすい話し方ができるようになります。
②日本人の上司に失礼のない日本語で話したい、またメールで報告するとき、自然な日本語が書けるようになりたい、

日本人の上司と話すとき、正しい敬語が使えているか不安。話して報告するときは、多少長くなっても言葉を足しながら説明できるけど、メールは相手の反応がすぐにわからないから不安。使っている言葉や表現が正しいかどうかわからない。
日系企業で働いている学習者なので、いわゆる中級~上級レベルの日本語が話せる学習者です。ですから、日本人の上司との会話はその場ではある程度問題なく成立しているのだと思います。伝わる日本語であることはもちろん、正しく話したい意識が強い学習者が多いのも確かで、逆にそれが焦りを生んで、間違えた表現を話してしまう原因になっているという面もあるのかなとも思います。
このような学習者の場合、架空の場面を設定するより、実際に上手く話せなかったと学習者が感じた場面をレッスンでやってみるというのがいいのではないかと思います。もちろん、業務内容がわかるようなことは話せませんが、話せる範囲で再現してもらって、どう言えばよかったのかということを一緒に考えていきます。地道な作業ではありますが、学習者の不安を取り除いて、自信をつけてもらう方法だと思います。

また、職場に日本人がいない場合でも、日本人の上司にメールを書くことがあるようです。簡潔にまとめたくても、適切な語彙や表現がわからないので、説明がだらだらと長くなったり、話し言葉でメールを書いていることに気付かなかったりしているようです。
このような学習者には、まずビジネスメールの形式を大まかに教えます。それから、メールでよく使う表現やメールでそのまま使える文を教えます。こうすることで、メールの書き始めと締め方で悩むことはなくなり、かなり負担が軽減されます。
③お客さんが日本人
私が今まで受け持ってきた学習者の中には、メールでお客様サポートのようなことをしているという人が何名かいました。私の経験上、このような学習者からメールの書き方や内容について相談を受けたことはありません。メールの形式や使っている語彙、表現が社内で決まっているからなのだと思います。
このような学習者の場合、様々なトピックについて日本語で話すことに慣れて、語彙、表現を身に付けていきたいという人が多いように思います。
日本が好き
これは何となく想像がつきますね。日本のアニメ、漫画、ドラマ、映画などが好きな学習者は本当に多いです。
私は自分の子どもの影響で最近のアニメを見るようになったんですが、学習者から聞いた面白いアニメを逆輸入(?)して、子どもと一緒に見ることもあります。
私が全く知らないアニメのあらすじを学習者が説明するのは、簡単なことではないと思うんです。でも、学習者自身が好きなアニメを日本人の先生に伝えたい!という意欲で、とても面白く紹介してくれます。

また、近年では日本で放送中のドラマを学習者の国でほぼリアルタイムで見ている学習者も多く、「先生、今どんなドラマを見ていますか」とか、「先生、このドラマ面白いですよ。今ならまだ間に合いますよ!」とお薦めのドラマを薦められることもあります。
学習者と教師が共有できることがあると、話題も増えるし、日本語学習に大いに役に立つと思います。
大学で日本語を専攻していた
大学で日本語を勉強していたけど、もう何年も勉強していない。だから、また日本語の勉強を再開したいという人も結構います。
10年以上ブランクがある人も多く、話したいことがすぐに出てこなくてもどかしさを感じている様子がうかがえます。ですが、レッスンを続けていくと、記憶が繋がっていく感じがあって、どんどん話せるようになる学習者が多いです。

大学で日本語を専攻していた人の中には、仕事で日本語を使うようになったから勉強しないといけないという人もいます。でもすぐに仕事で使うには不十分だから、まずは、思い出すところから、日本語を話すのに慣れることからという目的から始める人が多いように思います。
日本に住んでいる
日本語がある程度話せる状態で進学のために日本に来た人もいれば、日本語が話せない状態で日本に来たという人もいます。日本に住んでいる学習者は一歩外に出れば日本語を使わないといけない状態なので、目的がはっきりしているし、学習意欲が高いです。
その中に子育て中の人もいました。私も子育て中ということもあり、どんな場面で戸惑うかということが共有しやすいので、話が弾みました。お子さんの学校一つとっても、学校に持って行く物、給食、運動会、遠足、授業参観、発表会など、学習者やお子さんにとって初めてのことばかりだったと思います。
テキストを使ったレッスンをしましたが、話題を学校寄りに変えたり、担任の先生との会話練習に変えたりして、すぐに使える会話練習をしました。
大学生
現在進行形で日本語を専攻している大学生や、専攻は日本語じゃなくても就職に役に立てたい、将来的に日本留学を目指しているという大学生もいます。
大学で日本語を専攻している大学生の中にはN2,N1を持っている人もいます。ですが、会話は初級後半レベルという学習者が案外多く、学習者自身も会話があまりできないからという理由で、オンラインレッスンを受けることにしたと話している人がいました。
その他
中学生や小学生に教えたこともありました。外国語を勉強するのが趣味だという人もいれば、アニメが好きで日本語に興味を持ったという人もいました。

まとめ
いかがでしたでしょうか。オンラインレッスンといっても、様々な学習者が受講していることがわかります。様々な学習者に対応するのに、社会人経験や子育て経験が役に立つのはもちろん、アニメなど自分の趣味が役に立つこともあります。
オンラインレッスンを行っている会社のレッスンの内容(会話,JLPT対策など)を見れば、ある程度どんな学習者がいるのかが想像できると思います。またプラットフォームによっては、自分でレッスンの内容を自由に設定できるので、自分が教えたいタイプの学習者が好みそうなレッスン内容を提示して、そのような学習者を集めることもできると思います。

