日本語教師1年目の生活

日本語教師1年目の生活

日本語教師の資格を取ってから、しばらくはボランティア、プライベートレッスンをしていました。その後、技能実習生の研修センターで非常勤として働き始めました。午後の授業180分を週に5日、担当していました。研修センターで働き始めた4か月後に日本語学校の非常勤も始めました。午前のクラス90分×2コマを週に1日担当していました。

ここでは、研修センターで働き始めてからの1年間、どんな生活をしていたかを書こうと思います。(この時期は子どもはおらず、夫と2人で生活していました。)

 

午後の授業を週5日

仕事は午後からだったので、午前中に授業の準備をしていました。私が働いていた研修センターでは、午前、午後にそれぞれ文型を1つずつ勉強していました。ですので、基本的には1日1文型の授業をしていたことになります。

技能実習生の研修センターだったので、問題が解けるようになることが目的ではなく、話せるようになることが一番の目的でした。ですので、授業準備はほぼ導入のみで、あとは流れを決めておいて、技能実習生が話す時間を多くとるという具合でした。

教えるレベルは初級(当時の4・3級相当)でした。

この1年間に集中して初級だけを教えることができたのは、私にとって非常にいい経験となりました。多くの文型を教える経験ができて、その後の助けとなりました。

数週間後には日本人と働かなければならない技能実習生の学習意欲はとても高く、私はそれに応えたいとただただがむしゃらに、文型の意味を調べては、例文を書き出して、導入を考えるという毎日を過ごしていました。

どんなペースで仕事をしていたか

月曜日から金曜日までの午後の授業を担当していました。ですので、平日の朝、洗濯や掃除などの家事を済ませてから12時頃までを準備時間にあてていました。その後、車で出勤して仕事、帰宅後に晩ご飯を作っていました。

養成講座で実際に教案を書いた文型は、1つか2つだと思います。ですから、毎日のように初めて教える文型と向き合うことになりました。午前中に集中して、アイディアを出していくという生活でした。

どうして前もって授業準備をしていなかったかというと、常に入国が絶えず技能実習生が入れ替わる研修センターだったので、メンバーに合わせて学習項目を変えていたからです。また、事前に聞いていた日本語レベルと技能実習生の実際のそれがずいぶん違うという場合が多く、実際に技能実習生と話してみてからではないとレベルが把握できず、細かいカリキュラムが組めないという事情もありました。

ここの常勤の先生がよくおっしゃっていたのは「臨機応変に!」。経験がないと、目の前の事態に対応する選択肢すらなく、なかなか臨機応変に振舞えないと思うのですが、そこは人対人。技能実習生の反応を見ながら、臨機応変に授業することを心掛けていたら、何とか「臨機応変に!」ができるようになったのではないかと思います。

どう教案を作っていたか

「臨機応変に!」と話せるようになるのが一番の目的だったので、教案はきっちり決めずに、導入をしっかり作ることを心掛けていました。

その日に教える文型の意味を調べて、例文をたくさん書き出す。その例文の中から、導入に使うとわかりやすいものを3つピックアップして、導入の会話を考えていました。このやり方は今も変わっていませんし、この頃のノートを見返すこともあります。

初級の授業なので、口慣らしに口頭練習は必要ですが、文字を見て変換できるようになっただけでは話せるようにはなりません。ですので、絵カードを多く使って、答えが1つではなく、複数出てくるように心掛けていました。

当時は、フリーのイラストみたいなサイトもなかったので、日本語教育用の絵・イラストを使っていました。ただ、これだけだと足りないんですよね。インターネットで自分がほしいシチュエーションのイラストを探す時間がもったいなさすぎて、結局自分で描くようになりました。

絵を描くのはむしろ苦手だったんですが、絵は立派なものじゃなくていいんです。自分が見せたいシチュエーションが伝わりさえすればいいんです。日本語のテキストにあるような棒人間的なイラストを使って、動きと表情で表現していました。少々下手でも、技能実習生がクスッと笑ってくれれば、大成功です。

 

日本語学校の非常勤 開始

午前のクラスを週に1日、90分×2コマ担当し始めました。

日本語学校の授業の教案は、養成講座で作っていたような詳細なものを作っていました。授業の前置きや口頭練習、休憩に入る前のセリフまでしっかり書いていました。どのぐらい時間がかかるか感覚を掴むために、書いたセリフを読んで、時間も書いていました。

午前中にその日の研修センターの授業の準備をしていたので、準備のペースに変化がありました。日本語学校の授業の前日の夜に、研修センターの授業の準備をするようになりました。

日本語学校の授業準備はというと、授業スケジュールが2週間単位で出ていたので、ある程度準備が事前にできました。少しずつ準備することで、時間不足をカバーできていました。

それから、初級の授業の教案(導入)が溜まってきていって、授業準備に時間がかからなくなったということもあります。教える相手が変われば、導入も変わりますが、大枠は同じなので、授業準備の負担が多少軽減していきました。

 

自信のなさをどうカバーするか

どんなベテラン教師でも、「初めて」があります。「初めて」の時は緊張するし、失敗することだってあります。経験がないのに、根拠のない自信は持てません。

学習者にとっては、ベテラン教師も新人教師も関係ないんですよね。でも、新人教師がこんなこと言われたら、プレッシャーでしかない(泣)

経験を積んでいくしかない

少々空回りしてもいいと思います。一生懸命、授業準備をして、一生懸命、授業すれば、学習者には必ず伝わります。必ずです!続けることで授業が上手くなるし、上手くなることで自信のなさはカバーできると思います。

熱意でカバー

上にも書きましたが、一生懸命準備をした上で、一生懸命授業すれば、学習者に絶対伝わります。一生懸命な人の話は聞きたくなるし、応援したくなりますよね。逆に、授業をこなすようになると、それも学習者に伝わっているのかもしれませんね。

新人時代に、あることを聞いて肝に銘じておこうと感じたことがあります。

日本語教師歴20年のA先生、初級から上級までこなすベテラン先生だったんですが、実際にA先生の授業を受けている学習者に「A先生は日本語の先生ですか」と聞かれたことがあります。また教務主任B先生の授業を受けている別の学習者にも「B先生は日本語の先生ですか」と聞かれたことも。

日本語教師同士だと、教師歴が長くて経験豊富な先生の授業はきっとわかりやすくて面白いんだろうなと考えてしまいますが、場合によっては学習者からの評価は必ずしもそうではないということがわかる出来事でした。

インターネットをフル活用

当時、教案を作るときに参考にできるサイトは1つしかありませんでした。そしてこのサイトは初級レベルのもので、中級以上のものはありませんでした。どうしてもいい導入や、練習の展開が思いつかない場合、見ていましたが、いわゆる「手引き」的なもので、そのまま使えるというものではなかったと思います。

今では、現役日本語教師が実際に使っている教案がインターネット上に多く存在しています。しかもレベルも初級から上級まで!

人のふんどしで相撲はとれません。教師のキャラも違うし、学習者も違うからです。でも、参考にして自分流にすることはできます。真似ることから始めて、いずれ自分だけの特別な教案を作れるようになれればいいのだと思います。それに目的は教師が人と違う教案を作ることではなくて、学習者が授業を理解して日本語能力を高めることです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回改めて1年目のことを思い出して書いてみたのですが、初めて教える文型ばかりで日々時間を使っていたんだなと感じました。

今はインターネット上に教案が数多くあります。最初は授業準備に時間がかかると思いますが、参考にできるものをどんどん使ってくださいね。